ギリシャ神話に由来するユニークな名称でもおなじみのアキレス腱。
ランニングをはじめとした運動によってこのアキレス腱に炎症が生じてしまう「アキレス腱炎」と呼ばれるスポーツ障害は、長距離ランナーをはじめ多くのスポーツマンにとっての悩みの種であると言えるでしょう。
この記事では、ランニングなどによってアキレス腱が痛いと感じた時に疑われる「アキレス腱炎」について、その症状を中心に解説してまいりたいと思います。
アキレス腱炎の基礎知識
アキレス腱炎の症状などについて解説する前に、まずはアキレス腱炎の基礎知識についておさらいしておきましょう。
アキレス腱とは?
ふくらはぎの筋肉(腓腹筋・ヒラメ筋)と踵の骨とをつないでいるアキレス腱とは、ふくらはぎの筋肉の運動を踵の骨へと伝える役割を担っている腱であり、人体の中でもっとも太く強い腱であるという特徴を持っています。
ふくらはぎの筋肉の運動はアキレス腱を通じて踵へと伝達され、歩行・走行・跳躍などの運動に必要となるつま先の上下動がおこなわれます。
アキレス腱炎について
読んで字のごとく、アキレス腱に炎症が生じてしまっている状態であるアキレス腱炎。
このアキレス腱炎の主な原因として、アキレス腱に対する継続的な運動負荷が挙げられます。
このようにアキレス腱炎は、歩行や走行などによるアキレス腱への継続的な負荷が原因となることから、長距離ランナーや長時間のウォーキングをおこなう方に主に発症しやすいスポーツ障害であると言えるでしょう。
アキレス腱炎の原因について
前述の通り、長距離走や長時間のウォーキングなどによる継続的なアキレス腱への負荷がアキレス腱炎の主な原因となりますが、不自然なフォームによる走行・歩行や、身体に合わないシューズによる運動や悪い路面状況などもアキレス腱への負荷の要因となるため、アキレス腱炎の間接的な原因となると言えるでしょう。
また、着地時の衝撃を足裏で吸収しづらい扁平足や、足関節や足趾の固さ、加齢によるアキレス腱の弱体化もアキレス腱炎になりやすくなる要因として挙げられます。
アキレス腱炎の症状について
アキレス腱炎では、アキレス腱や踵への痛み・腫れが主な症状として発症します。
発症初期では、主に朝方に患部の痛みや違和感が感じられますが、運動によって症状が緩和される場合もあるため、放置して運動を続けてしまい悪化させてしまうケースも少なくありません。
アキレス腱炎が悪化してしまうと徐々に痛みが強くなり、日常生活時にも影響をおよぼしてしまう程の慢性的な痛みや、しこりのような腫れが生じてしまう場合もあります。
アキレス腱炎とアキレス腱断裂の違い
アキレス腱炎と同じくアキレス腱に生じるケガであるアキレス腱断裂。
患部や語感が似ていることからしばしば混同されがちですが、この両者はまったく異なるケガとなります。
継続的な負荷による炎症症状であるアキレス腱炎とは異なり、その名の通りアキレス腱への急激な負荷によって腱そのものが断裂してしまうケースがアキレス腱断裂にあたります。
アキレス腱炎の治療について
運動によるアキレス腱の痛みや違和感が感じられる場合には、アキレス腱炎である可能性が疑われます。
このような場合には運動を中止して安静にし、アイシングや外用剤などによって患部の保存治療をおこなうとよいでしょう。
3ヶ月以上続くような難治性のアキレス腱炎に対しては体外衝撃波治療やハイドロリリース、テンドンスクレイピングなどの手術に近い積極的な治療が行われこともあります。
これらの方法によって症状を緩和すると共に、ふくらはぎのストレッチ、足関節・足趾の可動域訓練、体幹から下肢の筋力強化などの運動療法がおこなわれます。またランニングフォームの見直しなども行う必要があります。
まとめ:アキレス腱が痛い!と感じたら無理をせずに休みましょう
いかがでしたか?
この記事では、「アキレス腱が痛い!」と感じた時に疑われるアキレス腱炎というスポーツ障害について、その症状を中心に解説いたしました。
競技に対してストイックに取り組む姿勢は素晴らしいことですが、アキレス腱炎をはじめスポーツ障害の症状を感じた際には、無理をすることなくしっかりと休息をとることもアスリートとして重要な心がけであると言えるでしょう。
また、スポーツ活動の妨げとなス腱炎を未然に防ぐために、トレーニング前後のウォームアップやクールダウンの徹底にくわえて、正しいフォームで綺麗に走ることも重要です。
それでもなかなか回復できない時は、リハビリ(運動療法)を積極的に行なっている整相談してみてください。長引く、繰り返すアキレス腱炎の影には股関節の柔軟性低下、筋力不足など身体の機能低下が潜んでいる場合があります。ただ痛みが引くのをまつだけではなく、機改レーニングやランニングフォームの見直しを専門家のサポートを受けながら積極的に行うことができます。