ランニング中に足首を捻挫してしまったという経験をお持ちのランナーの方も少なくないことでしょう。
しかし、たかが捻挫と軽く考えて放置してしまうことによって後遺症が残ってしまったり、高齢になってから歩くのが大変になってしまったりするケースもあるため十分な注意が必要です。
今回は、足首を捻挫してしまう原因と正しい対処法について解説してまいりたいと思います。
足首を捻挫してしまう原因
「捻挫」とは、関節に過剰な負荷がかかることで靭帯(骨と骨をつなぐ結合組織の束)や関節包(関節をつつむ二重の膜)が傷ついてしまった状態を表しており、特に足首は捻挫を起こしやすい部分のひとつだと言われています。
足首の捻挫はランニングなどの運動時に起こることが多いですが、転んだり階段を踏み外したときなど、日常生活の中で起こるケースも少なくありません。
足首の捻挫の患者数を年代別に見てみると、靭帯が切れてしまうほどのひどい捻挫はクラブ活動などで活発な運動をおこなう中学生~大学生に多くみられます。
また女性の場合には、社会人としてハイヒールを履く機会が増える10代後半以降に増加する傾向があります。
足首を捻挫してしまった場合の対処法
足首を捻挫してしまった場合の対処方法は、その重症度によって
●セルフケアで対処可能なケース
●医療機関を受診した方が良いケース
に分けられます。
セルフケアで対処可能なケース
腫れや痛みがそれほどひどくなく、歩くのに支障がない程度であればとりあえずセルフケアで様子を見ても大丈夫でしょう。
捻挫をした直後は安静にすることと、冷やすことが大切です。
過度の出血や炎症を抑えるため、まずは氷や冷水などで患部を冷やしましょう。
捻挫をしてから4~7日ほど経ち、腫れや痛みが落ち着いてきたら入浴や足浴などで患部を温めると良いでしょう。
温めることで内出血の吸収が早くなり、腫れが引きやすくなります。
また、筋肉をほぐす効果や痛みを和らげる効果もあります。
捻挫直後から数日~2週間ほどの間は、足首の動きを抑えるために包帯やサポーターなどで固定し安静にしながら日常生活を送るよう心がけましょう。痛みがなくなってくれば包帯やサポーターは外してしまって大丈夫です。
ただし、安静にしすぎるのも逆効果です。足首の動きが悪くなったりすることにより、痛みが長引く原因になります。痛みが強くならない範囲で普通に使うように心がけることが重要です。
医療機関を受診した方が良いケース
捻挫によって歩けないほどの痛みがあったり、立ち上がることが困難な場合にはすぐに医療機関を受診しましょう。
また、セルフケアで大丈夫だと判断した場合にも、1週間ほど安静にしていても腫れや痛みが引かなければ医療機関を受診することをおすすめします。
繰り返す捻挫に要注意!
重症の捻挫の場合には、治ったように感じてもなかなか痛みがひかなかったり、しっかりと足を踏ん張ることができずにぐらついてしまったりといった症状が長く残ってしまうケースがあります。
●靭帯が断裂したままになってしまっている
●軟骨が傷ついている
●筋力低下や関節が固くなるなど機能低下が起こっている
●腱が切れてしまった
上記のように、捻挫そのものが完治していないケースにくわえて、捻挫の影に軟骨損傷が潜んでいる(レントゲンでは分からずMRIといった詳しい検査で診断されます)場合や、過度の安静や固定による機能低下などのケースもあるため注意が必要です。
足関節捻挫の経過は個人差も大きく、すぐ痛みが引く場合もあれば長引く場合もあります。痛みが長引く場合にはMRIなどで詳しく調べ、リハビリ(運動療法)をしっかりと行う必要があります。また靭帯再建などの手術が行われる場合もありますので、なかなか治らない時には運動療法(トレーニング)にも対応できるスポーツ整形外科に相談することをお勧めします。
まとめ
いかがでしたか?
今回は、足首を捻挫してしまう原因や、その対処方法などについて解説いたしました。
軽い捻挫であればセルフケアでも十分対処可能ですが、いくつか落とし穴があるのが足首の捻挫です。
「たかが捻挫」と甘く見ることなく、少しでも心配な症状がある場合には医師の診断を受けるよう心がけましょう。
<参考記事>
ベネッセ教育情報サイト:ねんざを繰り返してしまうのはなぜ? ねんざ後にしておきたい予防法
https://benesse.jp/kosodate/201605/20160518-5.html
ベネッセ教育情報サイト:侮らないで! 足首のねんざの正しい対処法
https://benesse.jp/kosodate/201605/20160509-1.html
第一三共ヘルスケア くすりと健康の情報局:捻挫(ねんざ)の原因
https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/health/symptom/08_nenza/